不審船は情報の宝の山
平成13年12月26日(水)
東シナ海で沈没した工作船は、断固として引き上げねばなりません。
この船の調査により、我が国の今までの漫然とした安全神話が崩れ、実質的な安全確保のための具体的方策を考えることができるようになります。
政府は、沈没と同時に海上自衛隊に引き上げを命じ、今頃は、潜水艦救難母艦(3650トン)が沈没現場で待機していなければなりません。
時期を失すれば中国につけ込まれます。
残念ながら、政府は時期を失しつつあります。
また、工作船と北朝鮮の通信を傍受したことを公表したことは妥当ではありません。以後、北朝鮮は周波数をかえるでしょう。
かつて、ソ連による大韓航空機撃墜に際し、自衛隊が傍受したソ連戦闘機と基地との通信を公表したことがありました。ソ連は直ちに通信回路を変え、以後自衛隊は傍受できなくなったのです。
田中外務大臣に、工作船の生の情報を上げなかったのは正解です。不審船を察知した日米の情報源までぺらぺらしゃべられるおそれがあったからです。この分野で失敗すれば、日米の信頼関係を一挙に失う事態になりかねません。
情報源を何処まで公表するかは、極めて高度な戦略的判断に委ねられるべきです。