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日本のこころを大切にする党 西村眞悟

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西村眞悟の時事通信
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西の蔡英文と東のトランプ

平成28年5月23日(月)

 台湾の総統に民進党の蔡英文氏が就任した。

 これは、李登輝元総統が、
 一九九六年(平成八年)に初めて台湾国民の直接選挙による台湾総統システムを実践して総統に就任し、
 四年後の二〇〇〇年の任期満了を以て総統を辞任して、
 次の総統も国民の直接選挙によって選ばれるという
 「民主主義のサイクル」を完結させたこと。
 その結果として、
 二〇〇〇年(平成十二年)の総統選挙によって民進党の陳水扁が総統に選ばれ、
 二〇〇八年(平成二十年)陳水扁総統の任期満了によって国民党の馬英九が総統に選ばれ、
 二〇一六年(平成二十八年)馬英九総統の任期満了によって民進党の蔡英文が総統に選ばれて、
 この度の総統就任式に至ったのだ。

 一九四九年十月一日、中国共産党の毛沢東は中華人民共和国政府樹立を宣言した。
 是によって、大陸での拠点を名実ともに喪失した中国国民党の蒋介石は、
 南京の国民党政府を台湾に移転させて中華民国とした。
 そして、蒋介石の国民党政府は、一九八九年(平成元年)までの約四十年間、
 台湾に戒厳令を布く「白色テロ」による強権によって台湾を支配した。

 蒋介石は一九七五年(昭和五十年)四月に死去して息子の蒋経國が総統を引き継ぎ、
 一九八八年(昭和六十三年)、蒋経國の死去により副総統の李登輝が総統に就任する。
 そして、李登輝は、戒厳令を廃止して、台湾で初めての総統直接選挙実施に向かってゆく。

 前記の通り、
 総統の直接選挙は、八年後の一九九六年に実施されるのであるが、
 この直接選挙によって選ばれた総統は何処の総統なのかといえば、
 それはまさしく、「台湾の総統」である。
 もはや、蒋介石および蒋経國時代の「大陸を含む中国の総統」ではない。
 この時、台湾はまさに中国(支那)とは別個の存在となり、
 両者は「一つの中国」と「一つの台湾」の関係に入ったのである。
 
 これが台湾史および国際政治史における李登輝の最大の功績である。

 李登輝は、
 総統就任中も、台湾と中国との関係を「特殊な国と国との関係」としていたが、
 総統退任以降は、「台湾」という呼び名の普及に努め、
 台湾は中国ではない「台湾という独立国家」であるという主張を明確に展開して
 国民意識の覚醒を促し続ける国家的指導者となった。
 これが李登輝のアジア史における偉大な足跡である。

 この結果、かつて四十年間の戒厳令を布いて台湾を支配していた国民党も、
 二〇〇八年に権力に復帰しても馬英九の総統の任期満了に伴って、
 次の総統を国民の投票に委ねるほかなく、
 本年一月、民進党の蔡英文に敗北してゆくのである。
 
 なお、李登輝氏の総統時の中国との関係を
 「特殊な国と国との関係」とした表明は
 蔡英文氏の助言によるものと言われている。

 五月二十日の、蔡英文新総統の総統就任演説は、
 この台湾の歴史の流れを背景にして行われたのだ。
 この歴史の流れとは、
 「中華世界との訣別」であり「支那的文明の崩壊」である。
 従って、その就任演説の最大の特徴は、
 台湾は中国の一部とする「一つの中国」原則に言及しなかったことである。
 何故なら、台湾は中国(支那)ではないからである。
 
 そして、翌二十一日、蔡政権は、
 馬前政権が改訂した「中国色」の強い学習指導要領を廃止すると発表した。
 また、蔡政権は、馬政権が対中宥和を進めたために低下した国防力を、
 これから増強して「国防自主」の方向に進み始める。
 馬政権は、中国の南シナ海におけるスプラットリー諸島埋め立てと軍事基地化の
 軍事拡張路線に異議を唱えず、アメリカの「航行の自由作戦」に理解を表明しなかったが、
 蔡政権は、国際法の重視を表明しており、
 中国の露骨な覇権拡張路線に馬政権のように追随する気配はない。

 これに対して中国共産党政府も、
 理想的な対応をしている。
 即ち、台湾との対話・連絡メカニズムの停止である。
 中国政府は、台湾への制裁措置として、台湾からの輸入の制限や、
 中国人観光客の台湾渡航制限や他の経済制裁に踏み込むらしい。
 そんなこと、どうでもいいではないか。
 もともと中国経済は成長の鈍化が激しく、もはや未来はない。
 ほっといても輸入は減少している。
 また、あのイナゴのような中国人観光客が減少すれば、
 台湾人は改めて「台湾人の台湾」のすばらしさを知るであろう。


 さて、
 以上が我が国とは一衣帯水の西にある海洋国家の台湾で起こっている情勢である。
 これから台湾は「国防自主」の方向に向かう。
 当然、東シナ海と南シナ海を暴力的に支配下に置こうとする中国と緊張が高まってゆく。
 この台湾と我が国の共通の原則と国家戦略は、
 自由と民主の原則であり支那に対する自主独立による繁栄の確保である。
 ここにおいて、敵の敵は味方であるという言葉を思い起こすまでもなく、
 我が国は、この国際状況から、
 「国防自主」の努力を続けながら、
 台湾と連携して自国の安泰と東アジアの安定を確保することを迫られている。

 そのことを確認のうえで、
 太平洋の東を眺めれば、
 アメリカには、日本や台湾や韓国に対して、
 今までのようにただで艦隊や航空機や海兵隊を派遣するのはいやじゃ、
 俺たちが必要ならカネを払えと、
 非常に分かり易いことを言って大統領候補になった男トランプが出てきた。
 
 しかも、このトランプがモグラのように勝手に出てきたのではない、
 あの自分や身内が何をしているのか不明の習近平なら絶対に耐えられない
 つまりすぐ化けの皮が剥がされる数々の予備選挙をくぐって出てきたのだ。

 このように、
 西には蔡英文、東にはドナルド・トランプ、
 太平洋の西からと東から、
 我が国に、「戦後からの脱却」による自主独立と日台米の連携を促す強い動きが胎動し始めたのだ。
 後に振りかえれば、
 この度の蔡英文の台湾総統就任が、
 中国共産党政権の崩壊と東アジアの新時代の幕を開けたものと位置付けられるような気がする。

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