大阪堺市出身!国家の安全保障や国益優先の信念を貫く行動派!

日本のこころを大切にする党 西村眞悟

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情報統合の必要性

平成28年2月5日(金)

 昨日の時事通信の最後に、スパイ防止法と統合情報機関の必要性を記した。
 それで、切実な問題としての統合情報機関の必要性について述べることにする。

 天皇皇后両陛下は、一月二十六日から三十日までフィリピンに慰霊の行幸啓をされた。
 それで、いつも七十一年前から七十年前にかけて行われた
 フィリピン戦線での戦いのことが頭から離れず、
 これと現在の拉致被害者救出交渉や日韓交渉が錯綜して絡んでくるのだ。

 まず、フィリピン戦線について、
 この戦いにおける大敗北の原因は、
 架空の情報に基づいて戦闘配備をしたことにあった。
 具体的には、海軍航空隊の台湾沖航空戦における戦果報告を、
 そのまま真実の巨大な戦果であると信じて、
 フィリピン戦線の決戦場をルソンからレイテに転換したことに戦歿者五十余万人という敗因がある。
 
 この航空戦の戦果報告の虚偽は、フィリピン戦線だけではなく、
 赤道下のギルバート・ブーゲンビル沖航空戦の偽戦果を信じてタロキナ大反撃を開始した第八方面軍の失敗以来続いてきていた。

 航空戦においては戦場は、パイロットしか見ることはできない。
 そして、その報告に基づいて陸海軍部隊五十万の将兵の運命が決まってゆく。
 
 まず昭和十九年十月十日から十四日にかけて行われた台湾沖航空戦の大本営海軍部発表の「戦果」は次の通りである。
 十六日十五時発表 台湾沖航空戦の戦果累計次の如し
 轟撃沈 空母十、戦艦二、巡洋艦三、駆逐艦一
 撃破  空母三、戦艦一、巡洋艦四、艦種不詳十一

 では、この戦果はどこで誰から報告されていたのか。
 それは鹿屋の海軍飛行場である。
 鹿屋飛行場脇の大型ピストに司令官が陣取って戦場から戻ってきたパイロットから戦果の報告を受ける。丁度その時、十三日午後一時、
 鹿屋に着いた陸軍大本営情報将校である堀栄三少佐は、
 ピストから戦果報告を終えて出てきた海軍パイロットを片っ端から捕まえて聞き質した。
 
 「どうして撃沈だと分かった」
 「どうしてアリゾナだと分かった」
 「雲量は」
 皆、返事が曖昧だった。
 その時、飛行服を着た陸軍航空隊の少佐がピストから少し離れた処に腰を下ろしていた。
 そして、堀少佐に言った。
 「参謀!買い被ったらいけないぜ、俺の部下は誰も帰ってきてないよ。あの凄い防空弾幕だ、帰ってこなければ戦果の報告もできないんだぜ」
 「参謀、あの弾幕は見た者でないと分からんよ、あれを潜り抜けるのは十機に一機もないはずだ」
 
 しかし、堀少佐がピストに戻ると、
 戦果は更にふくらんで「轟沈」、「轟沈」の大合唱だった。
 そこで堀少佐は、大本営宛てに次の緊急電報を打った。
 「この成果は信用できない」

 直ちに、堀少佐はマニラに飛び、十六日の大本営海軍部の「戦果累計発表」を知った。
 その時、この数字が真実ならば、三十九年前の東郷元帥の日本海海戦以上の大戦果である、
 そんな馬鹿な、と思う。
 そして、マニラの各司令部で発表された戦果は信用できないと話すが、
 陸軍の各司令部も大本営海軍部発表を信じて浮かれていて一顧だにされなかった。
 
 そこで、堀少佐は、マニラから八キロ離れたマッキンレーの第十四方面軍司令部に走り、
 司令官の山下奉文大将に海軍の報告した戦果は事実に反することを懇切に説明した。
 聞き終わった山下大将は、同席させていた参謀副長に言った。
 
 「現に今、この上を艦載機が飛んでいるではないか」

 大本営海軍部発表の敵空母十三隻沈没が真実ならば、
 もはや敵に空母はなく敵艦載機がルソンの上を飛ぶはずはない。
 しかし、上を敵艦載機が飛んでいる。
 この単純明快な事実によって、
 山下奉文大将は、堀少佐の報告が正しいと判断した。
 実際、敵空母は一隻も沈んでいなかった!
 
 しかし、この山下奉文大将と武藤章参謀長の、従来通りの「ルソン決戦」方針は、
 海軍の空前の大戦果発表に基づく大本営の命令によって、
 「レイテ決戦」に変更させられるのである。
               (以上、堀栄三著「大本営参謀の情報戦記」より)

 では、何故、架空戦果発表が信じられて、それに疑念を挟めなくなり、
 その架空を前提にした作戦が実施されたのか。
 その理由は、次の三つであろうか。
 ①航空戦では、戦場の現場は、パイロットしか見ることはできないということ。
 ②戦場の報告をするパイロットは好い報告をしたい、
  司令部は好い報告を受けたい、と念じている、
  これが相乗すれば「万歳、万歳」に繋がってゆく。
 ミッドウェー海戦の敗北を帝国海軍は終戦まで隠していたように、
 海軍は敗北を認めない強迫観念に駆られていた。
 ③大本営海軍部が一旦発表したことは断じて変更しないという権威主義に縛られている。

 そこで、このような架空の戦果に基づく暴走を防ぐ体制を如何にして築けばいいのか。
 パイロットの心構えだとか無敗信仰を排するとかのメンタルな問題よりも組織論として考えれば、
 
やはり、情報の統合ではないか。

 このフィリピン戦線の戦果誤認の暴走は、
 海軍の情報と陸軍の情報が「統合」されて判断されなかったことから生まれている。
 それが「統合」されていれば防げた、のではないか。
 
 例えば、鹿屋の海軍飛行場で、海軍司令部は、
 陸軍航空隊の一人も部下が帰ってこなかった将校のもたらした情報を聴いたのであろうか。
 彼が言う、弾幕の凄まじさを聞き質し、戦場海域の雲量をきいたのであろうか。
 堀少佐は聴いたが、
 海軍司令部は聴いていないのではないか。
 また、ルソン島やレイテ島の地上に配備された陸軍から
 「敵の艦載機が飛んどるよ」との情報が、
 情報の「統合部」に伝わるだけで、
 敵空母十三隻沈没などの発表はできない。

 
 さて、フィリピン戦線の錯誤を長く書いてきた訳は、
 極めて私の思いなのであるが、
 この陸海軍大本営と司令部の
 「あり得ないことを、自分が思い込みたいように思い込んでしまう」という錯誤を、
 現在も、北朝鮮との拉致被害者救出交渉においても、
 韓国との従軍慰安婦問題においても、
 我が国は、常に繰り返してきているのではないか、と思うからである。

 例えば、平成十四年九月十七日の平壌における日朝会談
 
 外務省局長は、ミスターXという人物と接触し、
 それを外交のプロを自任する証かのように信頼する。
 これ、台湾沖から帰還したパイロットの戦果報告と同じだった。
 
 次ぎに、外務省は、平壌宣言を出した首脳会談は大成果であると信じたいので未だ信じている。
 その証拠に、十年経った平成二十四年にもストックホルム宣言でも
 「平壌宣言に則り」などと謳う。
 それ故、その十年間に、北朝鮮が平壌宣言で約束したことは、
 全て破っている(核実験、ミサイル発射)ことは見てみない振りをしている。
 
 また、平壌宣言自身が、拉致被害者救出の宣言ではなく、
 日朝国交正常化を急いで日本が北朝鮮にカネを出す宣言であるのに、
 外務省は未だに拉致被害者の為の宣言だと強弁している。
 日本がカネを出す宣言だから、
 北朝鮮は喜んでトラック二台分の松茸を小泉さん一行にお土産にくれたのだろうが。

 この経緯は、架空の戦果の上に乗って、
 軌道修正せずにレイテに行ってしまったフィリピン戦線とよく似ていると思う。

 次ぎに、韓国との従軍慰安婦問題交渉
 
 河野洋平官房長官は、平成四年、
 韓国側から、慰安婦連行の強制性を示す文言をちょっとだけ入れてもらえば、
 これで納まるからと頼まれて、その通りの談話を発表する。
 多分、そうすれば、「最終的かつ不可逆的」に解決する、
 と信じたいから信じたのだろう。
 
 信じたいからという理由で信じることができる相手ではない、
 という情報が入る余地はなかったのか。

 その結果は、ご覧の通りである。
 ソウルの日本大使館前やアメリカの西海岸と東海岸に
「日本は二十万人の韓国人女性を強制連行して性奴隷にした」
 というプレートが貼られた慰安婦にされた少女の像が建てられている。

 平成二十七年十二月の末、
 落語にでてくる大晦日の借金取りに追われる長屋の住民のように、
 安倍総理はソウルの韓国大統領に電話をかけて「反省し謝罪」した。
 外務大臣は忙しい年末にソウルに行って韓国の外務大臣に「反省し謝罪」した。
 
 何故か、「最終的かつ不可逆的」に解決するからである。
 その結末は、もうじき分かる。
 
 総理も外務大臣も「最終的かつ不可逆的」に合意できたからではなく、
 そのように合意したいから
 慰安婦像撤去の約束は全くないのに、
 「反省し謝罪」したのである。
 我が国に急ぐ理由は何もないのに。
 慰安婦像を置いたまま反省し謝罪したら、あの像が付けているプレートに書かれていることが、
 国際社会で真実になるではないか。
 慌ただしい年末に、第二第三の河野洋平が現れた。

 しかも、外務省は、
 日本は朝鮮人女性を強制的に連行して慰安婦にした事実はないと国連で説明することを躊躇っていた。
 その躊躇う理由は、韓国の外務大臣の韓国内での立場を弱めるからだそうだ。
 アホかと思うよ。
 世界遺産問題で我が国に平気でウソをついた人物ではないか。
 必ず、日本側のせいにして立ち回るよ。

 以上の、対北朝鮮でも対韓国でも、
 己の願望に合致した一つの情報に真偽を確かめずに飛びついて、
 「解決した」と思い込みたいから思い込む点は、
 大本営と陸海軍司令部のフィリピン戦線の失敗とそっくり同じである。

 我が国の、
 この根強い脆弱性を是正する為に、
 歴史の教訓と現在の反省のうえに立って
 外務省の情報、警察の情報そして自衛隊の情報また経済産業省の情報等々を
 統合しまた自ら情報を収集する
 国家統合情報機関の創設が必要だと確信する。

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