対馬・国境の島を如何に守るか
No.282 平成19年 4月23日(月)
昨日二十二日は、二時から日比谷公会堂で
「拉致被害者全員の即時返還を求める国民大集会」
が開かれ出席した。
この集会で行った拉致議連幹事長としてのアピールは、後日本欄に掲載したい。
金正日体制との戦いは、これからが正念場である。
その戦場は、外にあらず、まさに国内にある。
本日は、対馬・国境の島への間接侵略を如何に防衛するかに関して、四月十二日に政府に提出した「質問主意書」に対して政府から「答弁書」が届いたので、その質問書と答弁書を掲載する。なお、質問書の作成は、二月に本欄に掲載した対馬旅行における見聞を土台にしたものである。改めて、対馬を案内してくれた、自衛官OBで対馬地誌の研究家である小松津代志さんと対馬の誇り高い古族である阿比留一族の阿比留一馬さんにお礼を申し上げたい。
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「国境の島の防衛と振興策に関する質問主意書」
平成十九年四月十二日
周囲を海で囲まれた海洋国家である我が国には、海を隔てて他国と指呼の間に位置し、もしくは他国が領有権を主張する「国境の島」と呼ぶにふさわしい島々があり、その代表的なものとして、北海道沿岸から日本海を経て東シナ海に至る海域に、国後島、択捉島、歯舞、色丹、竹島、対馬、尖閣諸島および与那国島を南端とする先島諸島が存在し、我が国においてはこれらの島々とその領海を守ることが即ち国土を守ることに他ならないのである。
そのうち、当職が現実に訪問した島は、尖閣諸島の魚釣島と対馬および先島諸島であるが、かつて埼玉県在住の魚釣島等の土地所有者から中国人が魚釣島等の土地所有権を買い取るべく動いているとの情報に接した時には、仮に、中国人が魚釣島の土地所有権を取得して同島を占有すれば、国土防衛上忌々しきことになると憂慮したことがあるが、土地所有権譲渡は所有者の自由なのであるから、その忌々しき事態は何時でも現実のものとないうるのである。
さて、対馬であるが、従来から対岸の韓国に於いて対馬は韓国領であるとの見解が時々表明されることがあり、特に平成十七年三月十八日に、韓国の馬山市が六月十九日を「対馬の日」とする条例を制定してから韓国人観光客の対馬訪問が急増し、平成十八年間には、対馬の人口の三万八千人を超える四万二千人の韓国人が対馬を訪れている。
そこで当職が対馬に赴いて、対馬における韓国人観光客急増の実態を現地住民の案内で見聞したところ、まさに郷に入っても郷に従はざる訪問ぶりで、食料と漁具を韓国から持参して韓国人が取得したホテルまたは民宿に集団で投宿し、法令で外国人に禁止されている「撒き餌釣」によって終日漁労に従事して対馬沿岸の漁場を荒廃させるさまは、よく育った対馬の海産物を釜山で高値で売るための観光を名目にした韓国漁民の対馬出稼ぎであり、さらに加えて周辺領海内においては韓国高速漁船による密漁が盛んに行われているので、まさに対馬の島民が長年育ててきた海の幸が韓国人に簒奪されているかの如き印象を受け、また「対馬歴史探訪団」と称する韓国人の団体は、韓国の釜山まで五十キロの上対馬町鰐浦韓国展望所の記念碑周辺の国定公園内に、無断で韓国の木であるムクゲを植樹したと長崎新聞は報道している(平成十九年一月二十六日)。このような状況のなかで、過疎化が進み低迷する対馬の経済を活性化させるという思惑から、美津島町では韓国人向けに別荘三十三棟を売りに出すという「グリーンピアつしま」計画が進行中で、他にも韓国人向けの会員制ゴルフ場建設計画も噂されている。
以上の状況のなかで、対馬のと島民特に漁民の韓国からの訪問者に対する嫌悪感とフラストレーションは増大しつつあり、いずれ治安が乱れて韓国人観光客と島民との衝突が起こりかねず、この事態が発生すれば日韓関係の危機がもたらされると危惧され、さらに韓国人による対馬の土地取得が進行すれば、尖閣諸島魚釣島等の土地が我が国の領土を否定する中国人に取得されたときと同じ国防上の障害の発生を憂慮せざるを得ないのであり、その対策は緊急を要すると考える。
よって、次の事項について質問する。
一、尖閣諸島魚釣島および対馬などのいわゆる国境の島における土地所有権に関しては、自由な所有権移転を認めず、国境の防衛という公益の観点から当該土地を速やかに国が収容することができるなどの特例を設けると共に、その譲渡を規制することができる法制上の措置を講ずる必要があると思料されるが、政府は如何に考えられるか。
二、対馬などの多くの国民が暮らす国境の島が、過疎化して各種の産業が疲弊するなかで、隣国の多くの外国人が訪れて外国人への土地売却が進めば、国防上また治安維持上の忌々しき事態が生まれかねないので、国防上の観点からも、国境の島に対するさらなる振興策が必要と思料されるが、政府は如何に考えられるか。
三、対馬はかつていわゆる李承晩ラインの最前線で漁場を圧迫され、今は密漁の被害が絶えず、それを完全に把握して検挙することができていない状況であるが、このことは対馬への密入国および禁制品の搬入を阻止することができていないということを示しており、対馬と周辺海域の治安維持と防衛体制は甚だ心許ない状態であるといわざるをえないのであり、政府においては対馬における海上保安庁および陸海空各自衛隊の体制および装備を一新して、各組織が航空機および船舶を十分に保有した上で治安維持および国防の任務を尽くせるようにする責務があると思料するが、政府の見解と方針を回答されたい。
四、韓国の馬山市の「対馬の日」の条例制定の例の通り、韓国においては竹島と同じく対馬も韓国の領土とする言説が流布されているのであるが、政府においてはそれを承知していたのであるか、承知していたとして、何か対策をとられたのか、回答されたい。また、今後、韓国における対馬は韓国の領土とする言説に関して如何に対処する所存であるか回答されたい。
右質問する。
「答弁書」 内閣衆質第一七五号 平成十九年四月二十日
一について
土地収用法(昭和二十六年法律第二百十九号)においては、土地を収用し、または使用することができる公共の利益となる事業が規定されているところであり、これに加え、ご指摘のような特例を設けることや法制上の措置を講じることについては、憲法第二十九条において財産権が保障されていることを踏まえ慎重な検討が必要と考えている。
二について
ご指摘の対馬のような離島地域は、我が国の領域、排他的経済水域等の保全、海洋資源の利用、自然環境の保全等に重要な役割を担っているところである。
政府としては、離島振興法に基づいて、地域の要望を踏まえ、産業基盤及び生活環境の整備等が低位にある状況を改善すると共に、離島の地理的及び自然的特性を生かした産業振興等を図ることにより、定住の促進及び雇用の場の確保に積極的に取り組んでまいりたいと考えている。
三について
海上保安庁においては、高性能化を図った巡視船艇および航空機への代替整備等、必要な体制の確保を図りつつ、対馬周辺海域を含め、我が国周辺海域における治安の維持に努めていく考えである。
自衛隊については、「平成十七年度以降にかかる防衛計画の大綱について」(平成十六年十二月十日閣議決定)にある通り、今後とも、対馬を含め、島嶼部に対する侵略への対応について必要な体制の構築と装備品等の整備に努めていく考えである。
四について
お尋ねの「言説」が大韓民国の一部にあることは承知しているが、対馬が我が国の固有の領土であることは明らかであり、また、ご指摘の条例に関して大韓民国外交通商部が発出した論評等を踏まえれば、同国政府が対馬を同国の領土と認識していないことも明らかであると考えている。このような考え方に基づき、政府としては、お尋ねの「言説」に関連する状況を引き続き注視していく考えである。
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以上。
政府の「答弁書」は、閣議にかけて決定されるものであるが、読んでお解りの通り、官僚が作成したものである。そして事務次官会議にかけて閣議に持ち込まれる。
その上で、答弁書に関する感想を述べると、事態に対する具体的な問題意識ないし危機感が希薄ではあるが、島嶼部の治安維持と国防のために、航空機と船舶等の整備に努めると明記している。
しかしながら、他の回答には質問が強調している「国防」への意識が無く、甚だ心許ない。つまり、我が国の官僚組織とそれに乗っかる「閣議」というシステムには、内閣の最重要課題である「国防」に反応しない体制が出来上がっているのである。
その最たるものは、土地収用法が「公共の利益になる事業」で土地収用ができることを当然としているのに、それを遙かに超える「公益」そのものである国家の存立つまり国防の必要からの土地収用を位置づけることができずに、「慎重な検討が必要」というもっともらしい言い方で逃げて思考を停止している回答である。
これを起案した官僚が大学で使った憲法の教科書に「国防」がなかったからであろう。
また、答弁は韓国外交通商部が対馬を韓国の領土と認識していないとして楽観しているが、半島型政治と大陸型政治は要注意と指摘しておきたい。
尖閣諸島も文化大革命が終わるまでは中国の領土との認識は無かった。それが、突如言い始めたのだ。竹島も同じだった。対馬も状況が変われば突然言いはじめるかもしれない。北方四島もしかり。この時は、北海道まで占領されかかった。国家間の境界付近では、状況が変わればどうなるか分からない。だから、平時から国防軍が必要なのではないのか。
ちなみに、韓国の今のノムヒョンという大統領は、はじめは日韓間の歴史の精算は終わったと述べていた。しかし最近突如として、日本の謝罪と賠償を言いはじめた。一国の大統領が、国家間の関係に於いて平気で前言を翻して当然としているのである。
個人的な交際においても、こういうのとは付き合いきれない。
海の向こうの政治文化は違う。油断してはならない。要注意だ。
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