今こそ、歴史の復興期もしくは回復期

No.276 平成19年 3月10日(土)

 皇后陛下には、春風の吹く自然の中で十分にご静養され、
 ご健康を回復されますよう、切に祈り申し上げます。

 さて、ここ一ヶ月ばかりの情報に接していて、感じるのは、
今が歴史と精神の復興期であり回復期ではないか、ということである。つまり、今は一つの時代の転換点という思いがする。

 では、具体的に何を観てそう感じたのかというと、平成五年の宮沢内閣における河野洋平官房長官談話を前提にしていては、もはや国益も国民の命も守れなくなっている事態である。
 
 周知の通り、その河野洋平官房長官談話とは、
大東亜戦争時に、我が国政府が、朝鮮人婦女子等を強制的に拉致して戦地に連行し、兵士達の「従軍慰安婦」つまり性的奴隷にしたことは事実でありますから、心から謝罪致します、
というものである。
 この談話発表後、平成七年の、国会におけるいわゆる戦後五〇年謝罪決議に至る二年の間、内閣は、宮沢、細川、羽田、村山とめまぐるしく変遷しても、我が国は近隣諸国民に被害をもたらし迷惑をかけた国なので謝罪しなければならないという強迫観念のようなものに我等の精神は束縛されていた。
 そして、この時期の「謝罪派」は、良心的とみなされ、私のような「謝罪無用派」は、戦前を賛美する好戦的な右翼呼ばわりされたのである。

 そこで、謝罪派は、もう忘れているであろうが(謝罪派は、無責任な人達である)、私のような謝罪無用派が警告した通りの事態が今現れている次第である。
 即ち、アメリカ下院では、日本が婦女子を強制連行して兵士の性的奴隷にした所業は許し難いので、日本政府に謝罪を要求するという決議が現在上程されている。
 また、一昨日のハノイで終わった日朝会談において、北朝鮮代表は、日本は八百万人の朝鮮人を拉致して数十万人の朝鮮人婦女子を「従軍慰安婦」にしたことの賠償をせよ、と記者会見で述べている。これは、我が国の北朝鮮に拉致された日本人を返せという要求に対する反論である。
 北朝鮮は、朝鮮人を八百万人も拉致して未だに賠償もしない日本から、拉致被害者を帰せといわれる筋合いはないと国際社会に向けて反論しているのである。もちろん、アメリカ下院に上程されている決議を念頭に主にアメリカ世論に訴えているのである。

 そこでいよいよ、これほど露骨になれば、従来の路線では、我が国の誇りも国益も国民の命も、守れないということが明々白々になってきたといえる。この従来の路線とは、謝罪派がよって立つ処の東京裁判史観である。
 そして、ここから脱却して我が国自身の歴史を回復すべき時期が今なのだ。

 六十年前には、国土に戦災の焼け跡が広がっていた。日本人はここに佇んで、復興に邁進した。これは、そこに佇む者すべてが観た焼け跡だった。
 そして、六十年後の現在の我々は、敗戦による歴史の喪失と精神の荒廃というもう一つの重大な「焼け跡」の前に佇んでいるのである。これは、敗戦の後から進行したもう一つの「戦災」による荒廃である。なかなかこの戦災には気付き難かった。
 しかし、気付けば、六十年前と同様に、復興に邁進しなければならない。

 そして、その復興に踏み出すか踏み出さないかの、紙一つの境目に、今の安倍内閣が立たされているのである。
 
 安倍総理は、アメリカ下院の決議案に関して、我が国政府が多数の年若い堅気の娘を従軍慰安婦にするために強制連行した事実はない、従って、我が国が謝罪する必要はないと述べた。

 この総理の発言に対して、日本は河野洋平氏以来度々謝罪しているのであるから、さらにまた謝罪する必要はないという前提で動いてきた外務省などは、困っているらしい。
 さらに、本日の産経新聞によると、駐日アメリカ大使は、アメリカ下院での謝罪決議案に関して、「日本が河野談話から後退していると米国内で受けとめられると破壊的な影響がある」と述べ、安倍内閣に河野談話を踏襲するように要求したという。これは、脅迫か。アメリカ人の多くは、我が国に原子爆弾を落としたトラウマから逃れようとして、無意識のうちに我が国を「悪」と決めつけておきたいのだ。

 そこで、東京裁判史観という従来の惰性にもどり、河野談話を後生大事にするのか、明確に否定するのか、この岐路に安倍内閣は遭遇しているといえる。
 しかし、国家のための結論は決まっている。
 即ち、河野談話は事実に基づかない談話であるから否定しなければならない。
 
 虚偽の事実が流布されて国家の名誉が毀損され続けているのである。国家の名誉を守るのが政府の任務であるとするならば、安倍内閣は断固として虚偽を否定し、真実を堂々と国際社会に明らかにすべきである。
 ゆめゆめ、既に謝罪したのだから、さらに謝罪する必要はないというような論理に戻ってはならない。
 今こそ、この根本の虚偽の禍根を断つ絶好のチャンスと観るべきである。反作用に怯んではならない。これは、我々自身の戦災からの復興なのだから。

 それにしても、河野洋平氏には、今も国家に対して重責を負う衆議院議長なのであるから、次のことを「公務」として期待できないのであろうか。期待できないとすれば、一体いかなる人物が我が国の衆議院議長なのであろうか。
 即ち、平成五年の官房長官談話に至る日本と韓国の一切のやりとりと資料を明らかにすること。


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