やはり、モラトリアム体質は続いている
No.232 平成18年 7月12日(水)
北朝鮮のミサイル発射を受けて、我が国政府は、万景峰号の入港禁止を決定した。このことを先ず評価したい。
そして、現在、国連安全保障理事会における北朝鮮制裁決議の採決を推進する方向で我が国政府が努力しているが、中国とロシアが難色を示しており、制裁決議採決は難航している。
そのなかで、中国の外務次官が北朝鮮を訪れて「説得」しており、アメリカのヒル国務次官補も、その「説得」の結果を聞きに北京に行った。そして、決議採択は、延期に次ぐ延期だ。
そのなかで、我が国の意思は、「制裁決議をお願いする姿勢」に示されるのみである。この状況に我が国が留まっていることのなかに、中国が、昨年春、愛国無罪と放言して対日暴動を煽って我が国の国連常任理事国入りを阻害した意図が見える。
ところで、中国の「説得」とは何か。
6か国協議への復帰である。それに対して、北朝鮮は米国の金融制裁解除を要求しているという。
仮に、米国が制裁を解除して北朝鮮が6か国協議に復帰したとすれば、北朝鮮のミサイル発射は大成功である。また、米国が制裁を解除しないなかで6か国協議に復帰したとしても、北朝鮮の獲得するものは安保理の制裁決議見送りであるから北朝鮮としては何も損しないのである。
約束を破って核を開発し、約束を破ってミサイルを飛ばしても、つまり、やりたい放題しても、何も損しないという環境を北朝鮮は既に保証されていることになる。
我が国政府が、制裁決議実現に努力しているのは分かるが、
中国の「説得」に見られるように、現在既に出来上がっているのは、いずれにしても北朝鮮は損をしないという国際的構造である。
ところで、6か国協議とはそんなに有効なものなのか。
私は、その本質は時間稼ぎ会議とみる。日本以外の5か国の、問題先送りのための国際会議と把握している。北朝鮮にとって、オリンピックと同じように、参加することに意義があり、中断の後にちょろっと参加し、また中断するということを繰り返していても平気な会議なのだ。むしろ、中断があればあるほど実入りがよくなる会議である。
(我が国政府にとっても、この会議に外務省アジア局長を出席させている以上、努力していると拉致被害者家族にも国民にも説明できる)
さて、もう一つ、今の国際情勢について指摘しておきたい。
それは、拉致問題は、まったく無視されているということである。まるで、北朝鮮のミサイルは、拉致問題への目潰しであったかのようだ。
この状態を見て、言わねばならないことは、明らかであろう。それは、我が国は、北朝鮮制裁を、人様にお願いする前に、自ら決断して実施しなければならないということである。
この度も、この決断が欠けている。
この決断の回避は、今まで何度も繰り返されてきた。最近では、一昨年の暮れに、渡された遺骨が偽物であったことが判明して一年以上経つも、政府は、まだ「対話」と言い続けていたのだ。
自国民を救出するには、先ず我が国政府が自ら決断して国際社会に訴えるという行動が必要なのだ。今回も、この自明のことが明らかになっているにすぎない。
6か国協議をいくら開いても拉致被害者は帰ってこないのだ。
もうすぐサミットがある。
小泉総理には、今日明日にでも決断して、任期内最後のサミットにおいて、我が国が、「北朝鮮の日本人拉致と核開発とミサイル発射を断じて許さないという国家意思」を持っていると言うことを鮮明にしていただきたい。
この各国にお願いする姿勢のままでは、拉致被害者と家族のあまりにも非人道的な状況を見て見ぬふりをして自ら何もしない非情の日本国政府が、「国際社会において名誉ある地位を占めたいと思う」(憲法前文)という偽善を為していることにならないか。
サミットが、各国首脳の一種のパフォーマンスの場であることは理解している。従って、小泉総理にとっても楽しみのサミットでもあろうか。
しかし、自国民救出の措置を先延ばしにしてきた総理の、大げさなジェスチャーが、国民の目に如何に映るか、考えて欲しい。
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