クリントン大統領の時代の、1994年10月米朝合意の結果が、
2006年10月の核実験で、この度の2007年3月の米朝合意となる。まさに、ブッシュよ、お前もか、である。
94年の米朝合意によって、我が国では問題が一挙になくなったような安堵感が漂った。そして、この合意に基づいて我が国は北朝鮮に金員を渡しつづけたが、その間北朝鮮は約束は守るものだとは全く考えずに核開発を続けていた。
しかし、そもそも、この米朝合意は、北朝鮮が既に開発した核については触れずに、将来の核の開発を放棄するというものであった。
つまり、アメリカのクリントンは、北朝鮮が既に開発した核は不問に付したのである。何故なら、その核は日本には落ちてもアメリカの脅威にならないからである。
この度、アメリカ国務省のライス長官が主導して、米朝合意が成って、北朝鮮の核施設稼動中断の見返りにアメリカによる北朝鮮口座凍結解除と百万トンの重油供給と相成った。当のアメリカの国防総省やCIAの誰も北朝鮮が約束を守るとは思っていない。
仮に、北朝鮮がキューバの位置にあったら、アメリカはこういう合意をしただろうか。するはずはない。何故なら、キューバの核はアメリカに届くからである。
しかし、現実の北朝鮮の核は日本には届くがアメリカには届かない。だからアメリカは、またしても「米朝合意」に至っているのである。
この度が第一回目の米朝合意と違うのは、日本は「見返り」の供与に参加しないということだけである。
さて、北朝鮮は、見返りをせしめながら、約束を破り、今度は人口二千万の最貧国としては法外な「核大国」として立ち現われてくるであろう。まるで、94年以来のプロセスの拡大再現である。その時こそ、北朝鮮の脅威に我が国は手がつけられない。
我が国が供与に参加しなくとも、北朝鮮の脅威は増大し、拉致被害者は救出されないのだ。
外務省が、「我が国が供与に参加しないということは、アメリカも中国も理解してくれています」と説明しているが、これで済むことであろうか。口座の凍結解除や重油供与のプロセスが進むのを我が国は何も手を打たずに放置しておれるのであろうか。
既に書いたように、1921年のワシントン軍縮会議と続くロンドン海軍軍縮会議において、我が国は主力艦と補助艦の対米英比率を、それぞれ、5:3と10:7にすることに同意した。
大満足のアメリカ代表は次のように言って日本代表を大いに褒め称えたという。
「敵が自分達よりも優勢なる艦隊を建造するまで、自分の手を縛られるような条約に調印した」
この度の六カ国協議と米朝合意のもたらす情況は、80年以上前の、このワシントンとロンドンの軍縮会議の結果と似てきていると感じるのは私だけではないであろう。
少なくとも、我が国が従来通り、国家と国民の防衛をアメリカに依存して何もしなければそうなる。
ところで、1972年の米中関係正常化に関わる次の密約は公知であり、今も生きている。
「日本にだけは核抑止力を保持させない。日本の自主防衛政策を阻止するために、アメリカ軍は日本の軍事基地に駐留し続ける」
つまり、米中の共通の思いは、経済大国としての日本の存在は許しても、自ら国を守ることができない半人前国家に日本を封印して日本人を働かせてその金をせしめるというものである。
そして、まさに今、米中ともそれをやっている。
従って、この度の六カ国協議においても、アメリカは中国に丸投げしてさっさと日本を裏切ったのである。もちろん、イランで戦争ができる余力を残したいというアメリカの思いはわかる。
だが、それだからといって米中合意を維持して同盟国である日本を裏切ることはなかろう。北朝鮮の核の脅威が増大する下に位置しているのは日本ではないか。とんでもないではないか。
よって、ここまで見せ付けられれば、我が国はいよいよ国家としての本来の姿に立ち戻る決断をするときである。人類の歴史には、他国に依存して独立を保持し得た国はないのであるから、我が国が明治維新以来の国是である独立自尊の方針に立ち戻るならば向うべき道は自ずから明らかである。
即ち、六カ国協議やアメリカに頼れば、核の脅威から免れ、拉致された国民が救出されるとばかり考えていてはならない。それらに頼らなくとも国を守り自国民を守る体制を整えた時に初めて願いは実現する。
従って、この春、我が国総理大臣は、
「自国民を救出し核の脅威から自国を守るために、核抑止力確保を含む自主防衛体制の構築に全力を挙げる」
との見解を表明してからアメリカを訪問すべきである。
この総理大臣の声明だけで東アジアの事態は一変するであろう。
景色が変わって見えるであろう。日本人はもちろんであるが、特に、中国や朝鮮半島から見る人にとっては。
さらに、世界の投資家は、安心して我が国に投資し始める。
前に、自民党の中川政調会長が核保有議論をした時、ライス国務長官が、早速、アメリカの核の傘は有効だと「うそ」をつきに来日した。
同盟国といえども他国である。他国に頼っていると、うそをつかれても、そのうそにすがりつきたくなる。すがりついた。そしてライス来日以来、我が国の核議論は下火になって消えてしまった。
しかし、ここまで見せ付けられれば、津々浦々の国民の目が見てしまったのであるから、永田町の心地よい長年の惰性はもう許されない。
我が国政治は、独自の核抑止力確保に全力を挙げるべき時がきた。
国民を救うために!
国の独立を守るために!
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