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日本のこころを大切にする党 西村眞悟

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西村眞悟の時事通信
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さらに十一月に思う

平成24年11月6日(火)

 先に、東日本巨大地震巨大津波の翌年である本年十一月三日の明治天皇のお誕生日・明治節は、戦後から脱却した我が国が回帰すべきところを、「明治」であると天の配剤であるかのように示すものだと書いた。

 本稿では、さらに十一月に思われることを書きたい。
 それは、四季のうちで秋の十一月ほど、日本人が情の民族だとあらためて思われる時期はないということだ。
 そして、私は、十一月に、
 二十五日の三島由紀夫の市ヶ谷での自決、
 さらに翌日の白襷抜刀隊三千百人の突撃を思い起こす。
 しかも、この二十五日と二十六日は、十月の石原慎太郎氏の私どもに対する新党結成の呼びかけに期せずして符合している。

 十一月、虫の音を聞いても、月を眺め、紅葉の林を歩いても、やすらぎと、もののあはれ、を感じる。
 もののあはれ、とは、
 芭蕉の、古池や 蛙飛び込む 水の音
 行基菩薩の ほろほろと 山鳥の鳴く 声聞けば 
              父かとぞ思ふ 母かとぞ思ふ
 と、いうことであろうか。
 日本人以外の人種、西洋人などは、虫の音を、雑音と聞くらしい。そうであれば、カエルの飛び込む音や山鳥の鳴く声を聞いても同じであろう。
 日本人は、やはり、岡潔先生が言われるとおり、情の民族なのだ。

 さて、二十五日の作家三島由紀夫の自決だが、
 昭和四十五年十一月二十五日午前十一時過ぎ、三島由紀夫は、市ヶ谷の陸上自衛隊東部方面総監室の椅子にに益田兼利総監(陸将)を縛って立て籠もり、正午きっかりにバルコニーに出て地面に集まった自衛官に楠正成の「七生報国」を掲げて演説した後、総監室に戻り、割腹自殺をした。
 三島は、腹を深く十文字に切っていた。介錯は同行した古賀浩靖で、古式に則り三島の首を喉の皮一枚を残して切り落とした。
 次に、同行した森田必勝が腹を切り、古賀が介錯した。
 これが、三島由紀夫の世界を驚嘆させた切腹、
 いわゆる「楯の会事件」である。

 三島由紀夫の辞世は
 散るをいとふ 世にも人にも さきがけて 
           散るこそ 花と吹く 小夜嵐
 もののふの 手挟む太刀の 鞘鳴りに
           幾とせ耐えて 今朝の初霜

 この時私は、京都の吉田山を大学から住んでいた学生寮のある銀閣寺近くの浄土寺馬場町の方に歩いていた。
 すると、学生寮の玄関の垣根にさしかかった時、なかから同じ寮に住む学生が飛び出してきた。そして、
「三島さんが、自衛隊に立て籠もっている」と私に言った。
 私は、彼の顔を見つめて「三島さんは死ぬ」と思った。
 その時、彼の顔には晩秋の陽が射しており木の葉の影が映っていた。今でも、その木の葉の影が瞼に蘇る。

 翌日二十六日には白襷抜刀隊三千百名の突入がある。
 明治三十七年十一月二十六日夜、中村覚少将に率いられた三千百名の白襷抜刀隊は、ロシアが守る旅順要塞の松樹山第四砲台に突撃を敢行する。そして数時間後、累々たる戦死者を出して隊として消滅する。
 しかし、ロシア側記録において、彼等の敢闘は讃えられ、「旅順陥落は、実に白襷抜刀決死隊の突撃を受けたときであった」と述べられ、この突撃がロシア側に与えた衝撃の強さが記録されている。
 この白襷抜刀隊三千百名は、第一師団(東京)と第七師団(旭川)から選抜されている。第三軍司令官乃木希典大将は、白襷隊の出陣にあたり、列を廻って涙を流しながら、「死んでくれ」、「死んでくれ」と言った。
 そして、ロシア側記録の通り、彼等は死んでロシアに「日本軍には勝てない」という衝撃を与えたのだ。
 私は、十一月に入れば、いつもこの白襷隊の勇士のことを思う。

 さて、三島由紀夫自決から四十二年が経過した。
 その自決の年、三島由紀夫と親しく対談していたのが、同じ作家仲間の石原慎太郎氏だ。
 それから、四十二年が経過して石原さんは八十歳になっている。三島は四十五歳のままだ。
 そこで言う。この四十二年間、石原慎太郎さんは、三島由紀夫のことを思わない時は無かったのではないか、と。
 石原慎太郎さんが、齢、八十歳になって、新党樹立に動くと言うことは、畳の上では死なずに馬上で死ぬ決意を固めたということだ。
 石原さんも、三島と同じように、
 「手挟む太刀の鞘鳴り」に幾とせも耐えてきた。

 その石原さんに対して、若い者が、「理念の一致」が必要だと言う。
 何をぬかしておるのか。
 日本人は情の民族である。
 従って、「情の一致」が大切なのだ。
 この情が分からない者に政治は任せられない。

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