大阪堺市出身!国家の安全保障や国益優先の信念を貫く行動派!

日本のこころを大切にする党 西村眞悟

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台湾報告(二)

平成19年8月28日(火)

 二十三日の一六時五〇分頃、日本の関西空港に向けて台北の台湾桃園飛行場を離陸した飛行機は、東北に進路をとりすぐ海に出て、北上を始めた。
 すると、右翼側の窓から与那国、西表、石垣そして宮古の島々が見える。その位置関係から手前下向を見つめて、あの辺にかつて上陸した尖閣諸島魚釣島があるはずだと凝視したが近くの海域は、雲に阻まれて島影は見えなかった。
 この時、まだ台湾の北端は視野の中にあった。つまり、台湾と日本は大海原のなかで一つの視野に納まっていたのだ。これほど近いのかと眺めていた。
 今まで何度も台湾を訪れているが、今回は台湾を去ろうとするときの、この日本と台湾の島々の眺めが印象に残って今も消えない。百聞は一見に如かずというが、まさにそうだ。

 昨日二十七日、内閣が改造されたが、この印象が消えていないので、与党の新役員体制と内閣の新しい顔ぶれを、「台湾問題」に関して中国北京に迎合せずに毅然と対処し得るのか否かという視点から眺めていた。
 来年三月までに、台湾の立法院(国会)と総統の選挙があるので、昨日発足したこの内閣で対処することになるからである。
 
 台湾問題とは、我が国の存立に直接影響する海洋の自由と平和に関する重大問題であるが、この観点から昨日の内閣改造を見つめるマスコミ論調はないであろう。
 しかし、実は、この国家存立にかかわる問題に関して「意識の空白」があること、これこそが、「戦後レジーム」そのものなのだ。従って、総理の言う戦後レジームから脱却するとは即ち、
台湾問題を我が国家存立にかかわる問題として対処することに他ならない。
 インドに、パール博士の遺族を訪ねた安倍総理なら、指呼の間にある台湾に対して如何に対処すべきか、すでに腹中にあると思う。問題は、それを総理として表明し実施するか否かである。
 
 昨日も流されたマスコミの街頭インタビゥーでは、総理の安倍さんにああして欲しいこうして欲しいと色々な意見苦情が述べられていた。しかし、戦後レジームによる「意識の空白」があるので、いくら待っても、その空白からは国防外交また国家の誇りに関する意見・要望は現れないだろう。
 このようなときこそ、「戦後レジーム」によって封印されていた分野を開示して、そこから国家的課題を摘出して国民に示すことが総理大臣の任務即ちリーダーシップとなる。
 国家再興のポイントは、一点である。それは、国民国家の存立に関する課題を掲げることである。
 具体的には、台湾に関する問題を喚起すること、さらに、北朝鮮に拉致された被害者の救出に関して、一歩たりとも原則を揺るがせにしないことである。この二つはともに国家と国民を守るという、国家存立に関する問題である。

 とはいえ、現在の政治状況で、またそもそも人間世界で、百パーセントよくできた内閣、また、人間の組織は成立し得ないのであるから、拉致被害者救出国民運動が内閣を突き動かしたように、台湾問題に関しても国民が内閣を叱咤激励しなければならない。
 それには先ず、さらに多くの国民が台湾を訪れ、台湾が自由と民主主義の友邦であることを確認することが必要である。

 さて、表題の台湾報告に戻る。
 年々建物が新しくなってきた台北の街角に立って、十年前と違ってきたと感じるのは、「中華」や「中華民国」という文字よりも「台湾」という文字が多くなったということである。
 また、台北に入るときの飛行場は、今は桃園飛行場となっている。以前は、蒋介石の名前を付けた中正飛行場といった。また、台北市内にあった中国国民党の歴史を展示した巨大な蒋介石の石像がある中正記念館は、民主記念館というように名前が変わっている。
 前総統の李登輝さんは、
「日本はいいよ。日本では、共産党員でも何人かと聞かれれば日本人と答える。しかし、台湾では、何人かと聞かれて、台湾人と答えずに中国人と答える人が多いんだ」
とかつて私に語ったことがあった。
 確かに、私も、台北で自分はチャイニーズだという人々に多く出会った。しかし、最近は、台湾の人は自分はチャイニーズだと言わなくなったのではないかと感じるのである。
 以上のとおり、公共施設から中華民国や蒋介石に因む名が消え、街角で台湾の文字が目立つようになった。チャイニーズではない台湾人という意識が街頭に現れてきたように思う。

 また、一九四七年二月二八日の街頭での騒ぎを切っ掛けに、国民党が日本統治時代の知識人やエリートなど数万人を虐殺する二二八事件が起こり、それから四〇年以上にわたって台湾に戒厳令が布かれることになる。この異常な戒厳令は、いわゆる白色テロにより台湾人を苦しめ、李登輝総統の時代になってやっと解除されたのであるが、国民党時代にはもちろん二二八事件のことは教えられなかった。
 しかし現在は、台北にも高雄にも「二二八事件記念館」が造られ、中国国民党軍の支配の残酷性を説明している。特に高雄では、先生に引率された小学生が二二八記念館を見学しており、当時の映像を熱心に観ていたのが印象的であった。
 
 この度、日本統治時代に旧制中学を卒業した世代の方二人と、国民党時代の一九四八年に生まれて大学卒業後に兵役に服して金門島で軍隊生活をした方と親しく話をした。
 年配のお二人は、日本時代の青春と、二二八事件における悲惨を語った。私と同世代の方は、学校における蒋介石崇拝教育と、後にその価値観が転換したことを語った。特に二二八事件の白色テロの体験談には凄まじいものがあった。
 また、この方々は、台湾のことを語ると共に、日本のことを語った。我々の知らないことまで知っている。日本では、今頃になって中国からの食品の安全性が問題になっているようだが、我々はずっと前から、中国のは毒だから食べないよ、と言って日本の中国認識の甘さを指摘するのであった。
 この三人の方々の話を思い起こすと、改めて台湾にとって李登輝総統出現の重大さが分かる。台湾の歴史に李登輝総統が現れなかったら、我々が彼らから聞いたような話は封印されたまま消え去ったであろうと思い、この民主化と自由を台湾人が失ってはならないと強く思った。
 その為には、前回の報告(一)で述べたように、台湾は台湾であって中華民国ではないと、台湾人が表明しなければならない。
 
 同時に、また思った。
 李登輝さんは、本年「奥の細道」を訪れると共に、靖国神社を参拝され、戦死した兄の慰霊をしてくれていたと神社に感謝の意を表された。また、今まで「武士道解題」を著されるなど、日本人が忘れていた日本人の心を甦らせてくれた。つまり、安倍総理が言う我が国の「戦後レジーム」からの脱却の先鞭は、既に李登輝さんによってつけられているのだ。
 従って、李登輝さんは、台湾にとって大きな存在であると共に、日本にとっても大きな存在である。日本人が自己を振り返る切っ掛けを与えてくれた李登輝さんに、我々日本人は、大きな恩義がある。

 さて、李登輝時代を経てきた台湾において、国防に関する世論調査結果がある。中国が台湾海峡を渡って攻めてきたらどうするかという問に対して、八〇パーセント近くの青年が戦うと答えているのだ。
この数字は、大きな「抑止力」である。
 日本で同じ調査をすれば、日本青年はどう答えるか。抑止力になりうるのか。それとも、イージス艦などの軍備が張り子の虎になる回答がでてくるのか。

 とはいえ、台湾の進路に関するポイントは、来年三月までの選挙結果である。
この選挙が如何なる状況下で行われるかであるが、まず、中国の硬軟取り混ぜた圧力・恫喝そして工作がある。さらに、台湾のマスコミの八〇パーセント以上が中国国民党の支配下にある、つまり、大陸の影響下にあるという事実がある。
 これは、民主的な選挙ができる前提を欠いているといってもよいほど、国民党に有利である。
 また、台湾の公務員は、既得権擁護集団であると老人が言った。日本も公務員問題では大変だろうが、台湾はさらに深刻なんだと。
 国民党は長い統治時代に、公務員に支払う利息を十八パーセントと優遇していた。それで、選挙で国民党が負ければ、この有利な利息がなくなるぞと脅すという。
 このように、長い国民党統治時代につくられた既得権益のネットを駆使する国民党は選挙に強いとみてよい。これは、一ヶ月前の我が日本のことを考えれば百パーセント納得がいく。

 以上の状況を踏まえて、我が日本としては、友邦である台湾と台湾国民を励まし、台湾の自由と民主主義を守るという姿勢を鮮明にすべきであると思う。
 そして、これを、我が国の存立にとって重大な政治の決定として行わねばならない。政治の決定であるから、役人の領域ではない。
ゆめゆめ、七月の参議院選挙中のような外務省スポークスマンの記者会見に任せていてはならない。この役人の発言は、今までの教科書の中に閉じこもることによって、結果として北京の意向に迎合し、台湾という友邦を突き放すものであった。
 新しい安倍内閣に、台湾外交における政治主導という新機軸を切望する次第である。

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