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日本のこころを大切にする党 西村眞悟

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西村眞悟の時事通信
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「無理が通れば道理が引っ込む」だけの政治でよいのか

平成17年7月30日(土)

 政界は、郵政民営化問題一色で、七月に入り、七月を終える。
 無理が通れば道理が引っ込む、という諺があるが、「無理」の領域で、解散だ、解散だ、だから法案に賛成しろ、と盛んにやっているので、「道理」の観点から述べておきたい。

 衆議院で可決した法案を参議院で否決したからといって、衆議院を解散できない。
 解散を恫喝の道具に使うことぐらいは許容されるかもしれないが、現在盛んにやっているのを見ても明らかであるが、品位がない。
 では、参議院で法案が否決されたことをもって、内閣不信任とみなすと言っている総理は、その際何をすべきか。

「臨時もしくは緊急自民党大会」を開いて、八月中に自民党総裁選をやればよい。元々自民党総裁選挙で今の地位に来たのであるから、同じ自民党内の造反問題に遭遇して立ち往生すれば、元に戻ってやり直せばよいだけのことだ。
 さらに、次の選択肢もある。何回衆議院を解散しようが、参議院に解散はないのであるから、参議院否決即ち小泉総理不信任の構造は変化しない。よって、残された道は総辞職である。
 この論理に帰結するのであるから、参議院否決即内閣不信任といってしまった総理は、墓穴を掘ったと言える。

 要するに、現在の二院制において、衆議院の五票差の状況では参議院否決の場合には法案は成立しない。
 これが、ルールである。つまり、我が国議会制の構造において、図らずも、解散のない参議院が「元老院的拒否権」を有していることが明らかになっているのである。

 そして、「元老院的拒否権」というものは、民主政治を考えるに当たって実は要点なのである。
 我が国の政治においては、あまり意識されていなかったが、既に古代ローマの政治体制において「元老院的拒否権」は意識的に用いられ、現在も例えばアメリカ上院に引き継がれている。

 我が国の制度に於いて、「元老院的拒否権」的な機能があったのかという問題であるが、あったと思う。
 それは、聖徳太子の一七条憲法の一つである、物事は衆議によって決すべし、つまり、皆の衆が話し合ったうえで決めろという我が国社会の伝統のなかに、それが機能してきたといえる。
 さらに、明治・大正期については、維新の元勲達の存在と意見が、我が国政治のおける「元老院的拒否権」の機能を果たしていた。つまり、国家の各セクションが、思いこみで突出することが抑制され、一呼吸おいた統一が確保された。
 しかし、昭和前期には、これが機能しなくなって突出した見解が幅をきかせるに任され、緊急時に統一した国策策定が困難となり陸海軍の統帥権の統合運用もできなくなった。
 そして、その欠落は引き継がれて昭和後期から平成に入っても、国策の策定が困難になって、今、漂流感のなかにある。

 では、「元老院的拒否権」とは何か。具体的な事例で言おう。
「元老院的拒否権」とは、「何が何でも民営化だ」、「反対するならぶっ潰すぞ」などといってテンションが上がっているときに、「ちょっと待て、頭を冷やせ」と制止することである。
 また、百年前、権威ある東京帝国大学の教授連が、国民的な対露憤懣を背景にして政府に早急な対露開戦を迫ったことがあった。それに対して元老は次のように応えた。
「ご高説は分かるが、私は軍艦と大砲の数に相談している」
 激高する民論に対して、このように対応する機能が「元老院的拒否権」である。そして実は、これが、お互いに不完全で全知全能からほど遠い人間が行う政治という世界における必要不可欠な機能なのだ。民主政治の要といっても良い。

 さて、総理の頭の中には、郵政民営化しかないからといって、それにつきあってばかりいられない。
 即ち、現在、我が国は、
 如何にして核ミサイルに対処するのか、
 如何にしてテロに対処するのか、
 如何にして数百名の拉致された日本人を救出するのか、
 
 時あたかも、北京で六カ国協議が行われている今、総理大臣は、夏休み無くこれらに取り組んでいなければならないのではないか。

 現在、北京では惨めである。北京に赴いているアジア大洋州局長は、悲哀の中で苦闘している。何故なら、総理大臣が何の関心もなく決断もなく、外交官だけを送り出しているからである。
 六カ国協議は、参加することに意義があるオリンピックではない。
 
 では、総理大臣が六カ国協議前にすべき決断とは何であったのか。
それは、北朝鮮に対する全面制裁の発動である。
拉致された被害者を抱える国の総理大臣自身が何も決断しなくて、どうして国際社会で拉致被害者救出問題が取り上げられるのか。
 
 今驚くべき事に、総理大臣は、朝鮮総連の大会には祝賀メッセージを送り続けながら、拉致被害者救出への関心を失っている。
 そして、この総理と官邸の心理が、御用学者の発言に見事に反映している。本日(30日)の朝の読売系テレビにおける学者の次の発言、「日本は、拉致問題に引きずられているから・・・」
 彼は、六カ国協議における日本の立場をこう説明した。

 日本が拉致問題に「引きずられている」とは何だ。自国民が、数百名拉致されている我が国にとって、拉致問題は最重要の国家的課題ではないか。それを、まるで本論でないことにかかずらっているように表現する問題意識、実は、これこそ総理大臣が立ち向かわねばならない課題なのだ。

 七月二十八日、私が平成九年から願っていた元北朝鮮工作員の安明進氏の衆議院における参考人質疑が実現した。
 彼とは、平成九年以来交流がある。彼は真の愛国者であり圧制下で苦しむ北朝鮮人民と日本人と韓国人拉致被害者を救おうとして苦闘してきた同志である。
 彼は、次のように意見陳述を締めくくった。
「悪魔との戦いは、今日本が持っている最も強力な手段である経済制裁で金正日の首を絞めることだと私は確信し、わずかな動揺もない経済制裁が加えられるとき、金正日は、ついに日本国民と国家を恐れ日本に対して真摯な姿勢になると確信します」

 総理大臣、郵政民営化だけが今の課題ではない。国民を救い国家再建に直結する決断すべきことが、今あるではないか。
それとも、「所詮、街頭で真紀子さんに造ってもらった総理だった」と、後世評価されて終わるのか。

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