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日本のこころを大切にする党 西村眞悟

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本日の産経新聞「正論」に注目・・・歴史を背景に大構想は成り立つ

平成17年5月23日(月)

 本日の産経新聞には、屋山太郎氏の正論、まことに正論、
 「日本外交を『海洋国家連合』に転換せよ」
 が掲載された。
 この論考は、聖徳太子以来の我が国家の姿と中華世界の本質から説き起こす、視野雄大な構想であり、久方ぶりに「まさに、我が意を得たり」の感がする。要するに、我が海洋国家たる日本は、ブラックホールのような大陸の中華圏とは、
「近所付き合いはするが距離を保ったほうがいい」、これに尽きるのである。

 しかるに、昨日もテレビニュースを観ていると、与党の幹事長二人が北京に行って中国首脳の待ち受ける部屋に伺候して握手してもらい、にやにや笑って頭を下げている。
そして、「靖国参拝の姿は、見たくない」とか「靖国は、日本人の信念の問題ではなく、今まで積み上げてきたものが一挙に崩れるかという問題なのだ」とか、はっきり言って脅迫されている。
 思えば小泉さんが、八月十五日に靖国神社に参拝すると言っていた頃も、同じように与党幹事長(そのころは三人)が、北京に行って同じように言われていた。十年一日の如き姿である。
 他方、野党の姿はどうか、民主党の日の当たる表面には、明らかに社会党的、市民派的な要素だけがでており、予算委員会で、「中国における反日暴動は、小泉さん、貴方が靖国神社に参拝するからだとは思いませんか」と、党首が中国人のような質問をする始末である。本当に、民主党に所属していることが恥ずかしくなったような質問であった(幸いその時は福岡の補選に入っていて委員会室にはいなかったが)。

 よって、この与野党の表面にでた惨状にうんざりしているところであったから、屋山氏の正論に接して、「久方ぶりにスカッとした」次第である。

 さて、屋山氏も言っておられるが、福沢諭吉の中華圏に対する「脱亜論」は現在においてもポイントを突いているのである。
 ということは、中国・朝鮮は、百年前から変わっていないということになる。
 また、我が国と大陸側つまりシナと朝鮮の間には、正式な国交は無いのが原則であって、国交が始まってからは日が浅いのである。イギリスやフランスという、「欧米列強」のほうが我が国より遙かに古い国交の歴史を持つ。
 まさに、我が国が万世一系の天皇を戴く日本であるのは、大陸と違うから日本でありうるのだ。
 我が国が、食文化として人の肉を食ったり、宦官というおぞましい政治制度を持たなかったのは、まさに、特に菅原道真以来、意識的に、国策として、この大陸と距離を置いたからである。

 この歴史的理解の上で、海洋のアジア連合という構想を提示したのが本日の屋山論文である。
 そして、私は確信している。我が国の未来を開く戦略は、この海洋連合構想の上で成り立つと言うことを。

 さて、この構想が我が国の歴史だけから来る独りよがりなものではないことを示すために、次にASEANとは何かということを、その歴史から触れておきたい。

 そのASEANの起点は、1965年9月30日のインドネシアにおけるクーデターである(9・30事件という)。
 当時、世界の三大共産党は、中国共産党、ソビエト共産党そしてインドネシア共産党であった。そして、インドネシア大統領のスカルノは容共的であった。
 そこで、中国共産党は、周恩来の指導で、インドネシアを共産化するための謀略を開始する。それが、1965年9月30日の共産クーデター・武力蜂起を引き起こす。この日、決起した共産党軍は、ジャカルタを制圧し大統領宮殿を占拠し、まさにクーデター成功寸前であった。
 しかし、ほとんど成功しかけたクーデター軍は、四十二歳のスハルト少将の決断によって首都から排除されることになる。
 そして、以後、百万人とも三百万人ともいわれる人々が殺される血みどろの内戦の末、スハルト少将が勝利し、スカルノを退位させて大統領に就任して、治安と平穏が回復された。

 仮に、インドネシアの共産クーデターが成功しておれば、赤道下の東西五千キロに及ぶ群島国家インドネシアが共産化するのである。
 そうすれば、南のインドネシアと北の中国に挟まれた、現在のASEAN地帯は、簡単に中国共産党の支配下に吸収されていたのだ(既にそのころ、ベトナムはもちろん、ラオス、タイ、ビルマなどの山岳地帯には中共から共産ゲリラが送り込まれていた)。
 結局、インドネシアの9・30事件の帰趨が、東南アジアが一挙に共産化するか否かの鍵を握っていたのだ。
 従って、日本人はあまり知らないが、インドネシアはアジアの要衝であり、9・30事件で共産党が勝つかスハルトが勝つかは、日本を含むアジアの運命が懸かっていたのである。

 さて、9・30事件に勝利したスハルトは、共産化の脅威を力を合わせて防せぐ為の国家連合を構想し、同じマレー語のマレーシアに呼びかけ今のASEANを結成していくのである。
 従って、ASEAN結成の当初の共通認識と目的は、「反共」・「反中共」である。それが、二十世紀後半の共産党の脅威が収まってからは、「共存共栄」になっていく。
(中国の南のアジアつまりASEAN地域は、歴史的に中国の圧迫を受け、二十世紀には、中国の脅威が共産化の脅威と成っていたのである。この地域は、中国と中国人による圧迫を遙か昔から「南下問題」といっている。中国人が、北から、侵入してくるからである。)

 既に明らかなように、中国大陸の南のアジアは、海洋に面したアジアである。そして、この海洋地帯が、歴史的に中国の圧力を受けていて、20世紀後半には反中共の目的の元にASEANという国家連合を結成してきている。
 従って、日本と台湾とASEANは、海洋という地理的な共通点と共に、歴史的な共通点を持つのである。つまり、中華圏とは異なるアジアであり民主主義と自由経済という共通項を持っているのだ。

 よって、海洋国家連合は、まさに自然な歴史の流れのなかにある
 もっとも現実的で自然な共存共栄の構想といえる。

 ところで、共産化から社会主義市場経済に移行し、現在、外国資本を吸収して景気のいい中国は、ASEANに対してFTA(Free Trade Agreement)自由貿易つまり中国とASEANの国境を経済的にとり払うことを提唱している。これは何を意味しているのか。
 その歴史から、明らかであろう。
 ASEANから見れば、これは伝統的な「南下問題」の一種である。中華の独善的権力と中国人というイナゴの群れのような利にさとい連中が、一挙にASEANを食い荒らす方策、つまり「南下問題」である。
 中国から見れば、9・30事件の雪辱である。つまり、ASEANを中国の領域に入れる方便である。
 いずれにしても、政治的自由のない「社会主義市場経済」とASEANとの間で、FTAはあり得ない。

 最後に、屋山論文には、「前外務事務次官がインドネシア大使のときに、大使の部屋に『全ての道は北京に通ず』という書を飾っていたという。」という一文があった。
 それを読んだ時、駐インドネシア日本国大使館の大使の部屋に、「大道通長安」という額が掛けてあったことをまざまざと思い出した。
 この額を見た日は、スハルト大統領退陣の日の翌日で、ジャカルタには数日前の三千カ所の放火による煙が未だたちこめていた。
 私は、朝、ホテルから出て自動小銃をもつ兵士の群れの中を歩き、日本大使館の前にきた。すると、インドネシア兵が五名ほど銃を構えてたむろしている。しかし、大使館は、如何に外から呼びかけようと、扉を閉めたまま開こうとしない。
 私は、携帯電話で東京の外務省に電話して、
「こういう騒擾状態の時こそ、邦人の便宜のために、邦人が門の前に来れば、大使館は直ちに門を開かねばならないのではないか」と伝えた。
 すると、大使館の中から「日本の外交官」が出てきて、門を開け中に入れてくれた。その時、大使の部屋で、まさに見たのが
「大道通長安」の額であったのだ。
 インドネシア市内の争乱の中を歩いてきた私は、入る前と入ってからの両方とも、この大使館の感覚に唖然としたわけだ。

 インドネシアは、9・30事件以来、中国の勢力を排除するために漢字の使用を禁止している国である。そして、この度の暴動は、人口の二パーセントほどの華僑に、経済の98パーセントを握られている国民の不満が爆発した結果である。従って、焼き討ちの対象は、ほとんど華僑の店であった。
 つまり、インドネシアは、反共であり反中国なのだ。
 しかるに、そのインドネシアの首都ジャカルタの日本大使館の中は、「大道通長安」で、全ては中国様に草木もなびく、という意味の額が掛けてあるのであるからあっけにとられた。
 このインドネシア争乱の中で出会った、漫画のような日本の外交官の感覚が屋山氏の論文を読んで懐かしく甦った次第である(スハルト退陣前後のジャカルタの状況と日本大使館の姿は、拙著「海洋アジアの日出づる国」426ページを)。

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